都市開発は、これまでに五段階の変遷を経ていると考えます。前述したように戦後復興から高度経済成長期の1.0:建てれば売れた時代。2.0:マーケティングの時代。3.0:デザインなど付加価値の時代。4.0:コミュニティなどの時代。そしてコロナ禍を経た5.0:ハイブリッド開発の時代と言う五段階です。
これに対応して開発コンセプトも従来であれば、市場調査や競合分析をした上で、マーケット・ポジショニングを提示すれば、よかった時代がありました。「〇〇なマーケット特性だから〇〇を作る」というポジショニング思考でのコンセプト提示です。それに対して成熟社会化し、基本ニーズが満たされ、 E コマースという新しい競合も含めて、マーケットが飽和状態にある現状では、市場思考で糸口を求めても答えは有りません。そのエリアの特性や事業主体の DNAをリソースにして、その施設からどんなビジョンや提案ができるのか?が価値になってきます。「〇〇な私たちと共に、〇〇な未来を創りましょう」というビジョン共創型のコンセプトが支持を得やすくなってきています。東京ミッドタウンの「ジャパン・バリュー」や虎ノ門・麻布台プロジェクトの「Modern Urban Village」などです。
コンセプトのメーセージの複層化に伴い、関係者に的確に伝達するために、コンセプトも単にキーワード提示ではなく、それを補足する言葉とともに、戦略ストーリー型への変化が求められます。 着目点を示し、方策やプロセスを示し、その成果として得られるゴールを共有する必要があるのです。「〇〇をこう活かすと〇〇になって、〇〇なゴールに辿り着く」という起承転結を示すことが有効です。
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