【内容】
1.墨田区立川3丁目の奇跡
2.地域の再構築
3.「初心者1st」で組み上げ直す
1.墨田区立川3丁目の奇跡
廃れた「お祭り」を、「子ども」をきっかけにして復活させた事例があります。
20年以上前は、神輿の担ぎ手は同好会頼り、盆踊りは高齢者のカラオケ大会になってしまい、新しい担い手が寄り付かなかった「立川3丁目の夏祭り」は、地元の久保田健一さんの奮闘を中心に、蘇りました。
神輿の担ぎ手を頼まれて、お祭りに係るようになった久保田さんは、まず「盆踊りで子供をどうワクワクさせられるか?」を考え抜きます。
「太鼓なら幼稚園児でも、叩くだけで音が出る」ことに気づき、ご自分のお子さんを中心に子供太鼓の練習を始めます。
盆踊りの6週間前から、週一回練習して、本番で褒められる体験をした子供たちは、「夏祭りの楽しさを実感」します。
40人の子供が太鼓を叩くと、それぞれ6〜8人の親族がギャラリーになるため、数百人の観客が集まようになります。
さらに盆踊りの選曲にも、子どもたちに人気の曲を取り入れて、誰でも楽しめる振り付けを考案していきます。
企業協賛では不人気な提灯も、子ども達の名前入りの提灯(2000円)は人気だといいます。
そしてトウモロコシを焼く子供の模擬店も、繁盛するようになります。
「誰による、誰のためのお祭りなのか?」が問われる中で、立川3丁目の夏祭りは、子どもを中心にして、地域の関心を高め、集客し、再生した事例と言えます。
2.地域の再構築
立川3丁目の場合は、やがて「子供が世話になっているから」と、親も手伝いに来てくれるようになり、幼い頃に太鼓体験したヤンチャな高校生たちが、太鼓の先生として手伝ってくれるようになります。
立川3丁目の夏祭りの再生は、子供太鼓をきっかけに、20年にわたって地域の関わりを育てた結果だと考えます。
「日常の中の非日常な体験による関係づくり」が「お祭り再生」の基本スタンスなのです。
VUCAの時代、人生100年時代を考えると、従来型の偏差値偏重志向に不安を覚える父兄が多いのも事実です。
母親によるワンオペは勿論のこと、両親だけの子育ての弊害も顕在化しているのではないでしょうか?
子どもが同世代だけでなく、太鼓の先生の高校生や、世話人など様々な大人たちと繋がり、見守られることの重要性と安心感が求められているのだと考えます。
3.「初心者1st」で組み上げ直す
隣近所だからというだけで、地域がまとまることは無くなりました。
「地域の年寄り」で、凝り固まってしまった「お祭り」を開放して、「新しい血(初心者)」を受け入れ、もう一度組み上げ直す必要があります。
お祭りの再生、地域を再構築には、「初心者1st」での組み上げ直しが必要です。
太鼓、綱引き、ハロウィンなどなど、子どもを中核にしたコミュニティの再構築が有効です。
その他 ペットや趣味、eスポーツも良いかもしれません。
初心者にとっても、運営側にとっても「ゆるさ」が大切です。
そして、緩い運営スタイルであるが故に、「目的・目標、コンセプト」の設定が、重要になります。
目的・目標:なんのための「お祭り」なのか?
コンセプト:そのためにどのような「お祭り」スタイルにするのか?どこまで「反・日常」を許容するのか?
今こそ「日常の中の反・日常によるガス抜き」というお祭りの基本価値を見つめ直し、「初心者1st」で組み上げ直すべきだと考えます。
Comments