次世代の日本酒の可能性と課題を考える第5回(最終回)は、日本酒から「SAKE 」へのアップデートについての整理です。
【内容】
ユネスコへの登録準備
SAKE UPプラットフォームの必要性
SAKE文化のアップデート
1.ユネスコへの登録準備
日本酒は現在、「伝統的酒造り:日本の伝統的な、こうじ菌を使った酒造り技術」として、
ユネスコ無形文化遺産への提案準備が進められています。
提案要旨としては、
こうじ菌の使用という共通点を持ちながら、日本各地の気候風土に応じて、多様に発展した伝統を持つ事。
伝統的な技術から派生して、日本人の社会的慣習、儀式など、幅広く日本文化を支えている事。
酒造りを通じた、多層的なコミュニティの絆を強めるとともに、世界各地の酒造りに関する技術との交流・対話の機会になる事。
などが、挙げられています。
ユネスコ無形文化遺産へは、2024〜2025年の登録を目指しています。
登録されれば、「和食」と同様に、世界市場で認められるビジネス機会が得られるのではないでしょうか。
2.SAKE UP(グローバル戦略)プラットフォームの必要性
これまでの整理で、下記のように、現状、課題、可能性、機会が明らかになりました。
全国の酒蔵は、特定名称酒を中心に、輸出意欲は高いものの、輸出実績は3%程度にとどまっているという現状。
全国の酒蔵は、そのほとんどが中小企業規模で、輸出に向けた知識やノウハウに不安を覚えていると言う課題。
新潟大学日本酒学センターは、醸造学だけでなく、総合的な日本酒学の研究・啓蒙を目指しているという可能性。
そして2024〜2025年頃のユネスコ無形文化遺産への登録という機会。
以前、多摩大学の長島教授から、全国信用金庫協会の呼びかけで、47都道府県のコメを集めて「日本酒:絆舞(きずなまい)」を醸造した、と言うお話を伺いました。
これを一歩進めて、地域金融機関が仲介することによって、酒蔵有志がオンラインで、新潟大学日本酒学センターで、総合的な日本酒学を学んではどうでしょうか?
そこに集い、研鑽する酒蔵の情報をまとめて、海外発信することで、将来的には、世界のバイヤーや和食レストランとのマッチングも可能になります。
日本酒を「SAKE」にアップデートさせる、グローバル戦略プラットフォームの提案です。
3.SAKE文化のアップデート
日本酒は、ワインコミュニティ経由で、世界市場に広がろうとしています。
この戦略は、分かりやすく効果的だと思いますが、もう一歩進めて「ワイン文化」を学べないでしょうか。
ワインは、伝統と文化を纏うことによって、一本で数百万円の価値を生み出しています。
そこには「作り手のこだわり以上」のストーリーが、織り込まれています。
日本酒が「文化商品」であるなら、職人的な手間(=費用原価)を超える「価値創造」を目指して良いと考えます。
昔、ある大学教授から「茶道で使う【茶杓(小さな木片に数万円の値がつく)】のような商売が文化だ」と言われたことを思い出します。
Comentários