【内容】
登録件数1200ヵ所を突破したヒット施策
進化する道の駅
「道の駅」のあり方検討
1.登録件数1200ヵ所を突破したヒット施策
郊外の幹線道路をいくと、よく見かけるようになったのが「道の駅」です。
「道の駅」とは一般道路に整備された「高速道路のサービスエリア的機能」を備えた公設民営施設の呼称です。
大きな駐車場にトイレ、農産物や加工品の直売所や土産物ショップ、地元の食材を使ったレストランなどが揃い、道路利用者や観光客には便利な施設です。
1993年から始まり、今や登録件数は1221ヵ所(2024年8月)に上ります。
緩い登録条件と地域活性化の期待によって、制度開始30年の間に、高速道路のサービスエリア(886ヶ所)などを上回る1200ヵ所超の設置規模になり、全国的に普及した国交省のヒット施策です。
2.進化する道の駅
元々は長距離運転手をはじめとしたドライバーの利便施設として計画されましたから、道路利用者のための「休憩機能」、道路利用者や地域住民のための「情報発信機能」、道の駅をきっかけに地域づくりを行うための「地域連携機能」の3機能が基本になります。
その後 近隣の農家が農産物を持ち込む「農産物の直売所」が設置されるようになり、その安さと鮮度とで人気になり、近隣農作物を活用したレストランとともに、集客施設となります。
さらに周辺には、公園・広場・展望台・大型遊具などの行楽施設、温浴施設・体験工房や体験農場などの体験施設、オートキャンプ場・ロードサイドホテルなどの宿泊施設まで整備されるようになっています。
道の駅の性格は、運転手用の「利便の場」から、直売所などの「立ち寄り場所」、体験・行楽などの「滞在の場」、さらに様々な施設が複合した「目的の場」へと大きく変化(進化?)していったと言えます。
3.「道の駅」のあり方検討
一方で約3割の道の駅が赤字に陥っており、抜本的な改善が必要とされている状況だといいます。(2022年6月テレビ東京)
公設民営施設とはいえ、運営ベースでの赤字では、初期投資だけでなく毎年税金での補填が必要になってきます。
道の駅に対して、さまざまなメディアがランキングを掲載しています。
全国版総合ランキング:「道の駅」検索サイト
1位:道の駅ふたかみパーク當麻(奈良県)
2位:道の駅あいおい白龍城(兵庫県)
3位:道の駅シーサイド高浜(福井県)
全国道の駅グランプリ:「じゃらん」アンケート
1位:あ・ら・伊達な道の駅(宮城県)
2位:道の駅川場田園プラザ(群馬県)
3位:道の駅米沢(山形県)
ジャンル別ランキング:「フリーペーパー道の駅」読者選定
総合1位:道の駅川場田園プラザ(群馬県)
お土産1位:道の駅新潟ふるさと村(新潟県)
グルメ1位:道の駅伊東マリンタウン(静岡県)
上記のランキングは、基本的に利用者アンケートによる人気投票ですから、結局どこが?どう優れているのか?どのように改善していけば良いのか?は不明なままです。
道路利用者の利便施設から始まった公設民営施設である「道の駅」について、時代とともに変化した位置付けと整備方針を踏まえて、今後のあり方を見直す必要があると考えます。
このような認識をもとに、本シリーズでは、次世代の道の駅のあり方を検討します。
Comments